M&Aとは

M&A(Merges and Acquisitions)とは?

1. 複数企業が同じひとつの目標に向け、協力すること

2. 複数企業が1つになる「合併」や、ある企業が他企業を買い取る「買収」などで行われる“経営統合”のこと


この2つの意味があります。

一般的には、以下のように「経営統合」「企業提携」から成る広い意味で使用されます。

形態 名称 資本の移動
企業提携 業務提携 なし
資本提携 あり
経営統合 分割
買収
合併

M&Aは主に、「事業の拡大・縮小」を目的として行われるケースが多いとされています。

その種類が豊富になったことで、日本でもM&Aを利用して効率的に事業拡大を図ったり、コストカットを図ったり、という動きが多く見られるようになってきています。

業務提携(Allience)について

業務提携とは、「ノウハウや技術の共有などを通し、お互いの利益のために特定の分野において協力し合うこと」を指します。

生産提携 一方の企業の生産が追い付かない場合に、他企業に生産を委託したり、共同で資材の調達を行うことで、結果双方の利益につなげられる
技術提携 技術の提供や共有により、開発の効率化できる
販売提携 販売力に不安のある企業が、パートナー企業の販売力を活用したり、販売を委託することで結果双方が利益を得られる
業務提携のメリット

■お互いの独立性を保つことができ、いつでも関係の解消ができる。

■似た事業部門を持っていれば、経費の削減を図れる。

業務提携のデメリット

■結びつきが弱く、経営危機に陥った際の支援をしてもらえない可能性が高い。また、協力できる度合いに限界がある。

■業務提携を行ったどの企業が責任を負うのか、その所在が不明瞭。

各形態ごとのメリット・デメリット

技術提携

■メリット

生産を委託する側と受託する側双方が生産過程で協力し合うことで、

これまでよりも多くの商品を同じ時間で生産できるようになり、利益率が向上します。


■デメリット

別企業が提携する形のため品質管理が難しく、詳細な指示を行う必要があります。

また、その際にもコミュニケーションコストが発生します。

さらに、受託側の品質管理に問題がある場合には委託側のブランドイメージに傷がついたりと、良くも悪くも大きな影響を及ぼし合うことになります。


技術提携

■メリット

提携各社が持つ技術を共有し合い、開発速度を向上させることができます。また、これらの技術を組み合わせることで新技術を生み出し、開発に活かすこともできます。

これまでは自社だけで負担していた開発コストやリスクも、提携各社で分散できます。


■デメリット

自社以外の企業と提携することになるため、ノウハウや技術といった機密情報の流出リスクは高まります。また、提携解除となった場合には、これまで共同で行ってきた開発も無駄になる可能性があります。


販売提携

■メリット

提携各社がお互いの不足した部分を補いあうことで、自社だけでは実現できない充実したサービスの実現ができます。

例えば、技術力や商品力は強いものの販売力のない企業と、反対に販売力はあっても技術力や商品力に不安のなる企業が提携を行うことで、お互いの弱みを補い、強みを活かした販売戦略の実現が可能になります。


■デメリット

販売の幅が広がると同時に、これまでとは異なる販売方法や経路をとることになるため、サービスの精度が安定しにくくなる可能性があります。

資本提携(Capital tie-up)について

資本提携とは、「お互いが独立した組織でありながら、相手方の株式を保有することで関係を強化していくこと」を指します。お金を出しているかどうか、という点が業務提携との大きな違いとなります。相手の利益=自分の利益にもつながるため、より強固な関係を築いていくことになります。


資本提携の業態

資本参加 一方の企業が、相手方の株式を保有すること
相互保有 双方の企業が、お互いの株式を保有すること

資本提携のメリット

■業務提携に比べ、より強固な関係を築ける(経営への参加、財務的支援など)

■資本の受け入れ側は資本金を増加でき、財務体制の強化を図れる

■資本の投入側は、他企業よりもより優遇された条件で取引などが可能


資本提携のデメリット

■資本投入側が経営に参加できるようになることで、100%受け入れ側が主導となった経営が難しくなる可能性がある

■資本の投入側も、IFRSへの対応を始め負担が増える

■機密情報の漏洩リスクが高まる

分割(company split)について

分割とは、「現在事業について保有している権利や義務を、新しく設立する会社または相手方の会社に継承させること」を指します。


分割の業態

吸収分割 一方の企業の事業を相手方の会社に引き継がせること
新設分割 双方の企業の事業を新しい企業に引き継がせること

分割のメリット

■事業を分割した側は、各資源や人員を他事業に集中できるようになる

■事業を受け入れた側は事業の拡大が可能になり、競争回避もしやすくなる

■提携とは違い、責任所在が明確

■債権者の同意が不要のため、迅速な継承が可能

■事業をまるごと引き渡すことになるため、分かりやすく進めやすい


分割のデメリット

■税務上の手続きが複雑

■計上されていない債務も引き継がれるリスクがある

■社員のモチベーションが低下しやすい

■比較的短時間で手間なく事業を受け渡せる分、その後の問題が見つかりやすい

買収(Acquisitions)について

買収とは「一方の企業が、もう一方の企業の経営権を買い取ること」を指します。

買収は中でも中小企業の経営統合でよく利用される手段です。買い取られた企業は、新しい企業の経営のもとで存続していくことになります。


買収の形態

事業譲渡 企業の事業の一部を譲渡する。
⇒対価を相手企業に払い、特定の事業部門を買収する手法
株式取得 一方の企業がもう一方の株式を買い取ることで経営権を得る。
⇒議決権の3分の1以上の株式を取得することで、企業の経営権・所有権を獲得する手法

買収のメリット

■既存商品や既存サービスの充実、拡大ができる

■新規分野への参入、組織再編などをスピーディーに進められる

■コスト削減を図れる


買収のデメリット

■買収する側は、対価が必要

■買収後、想定よりも成果が上がらない可能性もある

各形態ごとのメリット・デメリット

文字化け

■メリット

特定の事業部門を継承する形になりますので、必要とする資産に絞って引き継ぐことができます。


■デメリット

必要資産だけを継承し、リスクを抑えられる一方で、債権者の同意が必要のため、手続きに特に時間がかかりやすい手法です。他にも消費税がかかったり、社員の再雇用が円滑に進めにくい、等のデメリットもあります。


株式取得

■メリット

買収する株式割合は、買収する側が自由に設定できます。

また、比較的手続きも簡単です。


■デメリット

事業譲渡のように、特定の事業部門だけ、と範囲を限定することができません。また、計上のない債務までも一緒に引き継いでしまうリスクもあります。 す。


合併(Mergers)について

合併とは、「複数の企業がひとつの会社にまとまること」を指します。こちらは買収とは異なり、合併に参加した企業はもう一方に吸収され、消滅します。


合併の形態

吸収合併 合併のもととなる企業を除き、他の会社すべてが消滅する
新設合併 合併に参加したすべての企業が消滅する

合併のメリット

■M&Aの中で、企業間で最も強固なつながりを築ける

■コストの共有を通し、費用削減につなげられる

■複数企業がひとつになるため、責任所在もわかりやすい

■M&Aの効果が早く現れやすい


合併のデメリット

■合併前の企業ごとに存在した企業体質や社風などの違いが残りやすい

■引き継ぎたい資産を限定できない

■条件が厳しく、実行までのハードルが高い